コンゴ民主共和国でインフルエンザに似た症状を引き起こす正体不明の疾患が広がっていることが報道されました。本サイトでは、この疾患に関して得られる情報を掲載します。
(現在は『マラリアを伴う急性呼吸器感染症』と呼ばれています。)
12/8付けで公開された情報の更新版です。以前は『診断のつかない病気』とされていましたが、現在は『マラリアを伴う急性呼吸器感染症』と命名されています。
本更新には、疫学調査から得られた情報とラボでの予備的な検査結果が含まれています。
11月29日、クワンゴ州パンジ保健地区で、特に5歳未満の子どもを中心に発熱を伴う疾患後の死亡例が増加しているとして地元当局が警告を発しました。診断がつかないまま、咳、体のだるさ、発熱など急性呼吸器および熱性疾患に該当する症例の調査が実施されました。その結果、12月16日までに、891例、48人の死亡例が報告されました。
5歳未満の子どもたちは、全症例の47%、全死亡例の54%を占めています。彼らは人口の約18%に過ぎず、幼い子どもたちが重症化や死亡に対して脆弱であることを反映していると考えられます。死亡に関連する主な症状としては、呼吸困難、貧血、急性栄養失調の兆候が含まれています。
合計430件のサンプルが収集され、INRBの研究所に輸送されました。現地で実施された88件の迅速診断検査では、55件(62%)がマラリア陽性でした。また、PCR BioFire Global Fever Panelテスト(ウイルス性出血熱を含む18種類の病原体を検出)による26件のサンプル解析では、17件(65%)がPlasmodium falciparum(熱帯熱マラリア)陽性でした。さらに、89件のサンプルが検査され、その結果、64件が一般的な呼吸器ウイルスに陽性を示しました。内訳は、インフルエンザA(H1N1, pdm09)が25件、ライノウイルスが18件、SARS-COV-2が15件、ヒトコロナウイルスが3件、パラインフルエンザウイルスが2件、ヒトアデノウイルスが1件です。
これらの結果から、マラリアと季節性ウイルス感染症が、急性栄養不良と相まって重篤化し、特に5歳未満の子どもにおける重症化と死亡率の増加を引き起こしていることが示唆されています。
本事例は、食料不安という背景を持つ脆弱な地域社会における一般的な感染症(急性呼吸器感染症およびマラリア)の深刻な影響を浮き彫りにしており、特に栄養不良という根本的な要因に対処しながら医療へのアクセスを強化する必要性を示しています。
6 January 2025
コンゴ民主共和国の保健省は、同国のパンジ保健区域で広がっていた原因不明の疾患が、重症のマラリアであると発表しました。
今月初め、地元当局はこの疾患が11月に南西部のクワンゴ州で143人の命を奪ったと発表していました。
この疾患は、呼吸器疾患として現れる重症のマラリアであり、この地域に広がる栄養失調が、病気に対する抵抗力を低下させているとのことです。また、10月以降に592件の症例が報告されており、致死率は6.2%であることも明らかにしました。
この情報は、ロイター通信による報道にもとづいています。ロイター通信 のサイトはこちら。
19 December 20242024年10月24日から12月5日にかけて、コンゴ民主共和国のクワンゴ州パンジ保健地区で、診断のつかない病気が406件報告されました。この疾患の主な症状は、発熱、頭痛、咳、鼻水、体の痛みであり、31名の死亡が確認されています(致死率:7.6%)。重症例はすべて栄養失調が認められており、特に5歳未満の子どもたちに影響が集中しています。この地域は農村部で、雨季によりアクセスが制限も加わり、キンシャサから陸路で到達するのに約48時間を要します。このような地理的条件や限られた診断能力が、対応と原因究明を遅らせる要因となっています。
症例の大半はパンジ保健地区内の30の保健エリアのうち、ツァカラパンジ(169件)、マキタパンジ(142件)、カンザンジ(78件)の3つのエリアから報告されています。患者の64.3%は0~14歳の子どもで、特に0~59か月(5歳未満)が全体の53%を占めています。死亡例の71%は15歳未満であり、そのうち5歳未満が54.8%を占めています。患者の59.9%は女性で、死亡例の多くは村落コミュニティで発生しました。
この地域では、慢性的な食料不足が悪化しており、予防接種率も低い状況です。また、診断や治療のための資源が限られており、医療物資や輸送手段、医療スタッフの不足が深刻です。患者の臨床症状には、発熱(96.5%)、咳(87.9%)、倦怠感(60.9%)、鼻水(57.8%)が見られ、死亡例では呼吸困難、貧血、急性栄養失調が主な症状として挙げられます。
保健省によると、コミュニティで発生した死亡例も報告されており、これらについては年齢や性別などの特徴を含めた調査と確認が進められています。現在、原因として麻疹、インフルエンザ、急性肺炎(呼吸器感染症)、大腸菌による溶血性尿毒症症候群(HUS)、COVID-19、マラリアなどが疑われていますが、さらなる検査と調査が必要です。特にマラリアはこの地域で一般的な疾患であり、今回の症例の原因または悪化要因として関与している可能性があります。
また、現在の段階では、複数の病気がこの症例と死亡に関与している可能性も排除できません。
10 December 2024アフリカ中部のコンゴ民主共和国(DRC)南西部で、インフルエンザに似た症状を引き起こす正体不明の疾患により、15~18歳を中心に少なくとも79名が死亡したとの報道がありました。300件以上の感染が報告されており、約半数は5歳未満の子どもとの報告もあります。 症状には 発熱、頭痛、咳、呼吸困難、貧血などが見られるとのことです。
特に患者の多いクワンゴ州のパンジ保健地区には医療チームが派遣され、疾患の管理と調査を進めていますが、医薬品の供給が不足している状況です。地元当局は、手洗い、大規模な集会の回避、専門家の指導なしに遺体に触れないことなどの予防策を呼びかけています。
世界保健機関(WHO)は現地にチームを派遣し、検査のためのサンプル収集をおこなっているとのことです。
パンジ保健地区は首都キンシャサから700km離れた遠隔地に位置し、住民の40%が栄養失調に苦しんでいます。現在のところ、この疾患が近隣地域に広がったという報告はありませんが、保健当局は引き続き監視を強化しています。
この概要は、BBCやAPをはじめとする公開されている報道にもとづいています。詳細については、BBC と AP の記事をご参照ください。
→ Article in BBC (5 December 2024)
Unknown flu-like disease kills at least 79 people in DR Congo
→ Article in AP (6 December 2024)
Health officials investigate mystery disease in southwest Congo after dozens of deaths